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【モーラム・ミーツ・ダブ】Siang Hong Lionsが示す未来のモーラム

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雑食性の高い音楽「モーラム」

モーラムはこれまで様々な音楽を取り込んで成長してきた雑食性の高い音楽です。

ロックはもちろん、ヒップホップやドラムンベースetc・・・。その節操の無さは、世界中のポピュラー音楽の中でも、群を抜いていると言えるでしょう。

だからこそモーラムは今も活力のある音楽としてタイの人々に人気があると言えます。そこがすっかり元気の無くなったルークトゥンとは大きく違う所でしょう。

そして、今も絶えず変化し続けています。それこそ「モーラム」が崩れるのを全く恐れる事なく。

そのモーラムの可能性をさらに広げる事につながる試みをしたCDがありました。2000年にリリースされたイギリスのミュージシャンJah Wobbleによるアルバム「Molam Dub」がそれです。

ここではタイトル通り、モーラムと「ダブ」との融合が行われています。

Jah Wobble & The Invaders Of The Heart / Molam Dub

このアルバムではJah WobbleのプロジェクトThe Invaders of The Heartとラオスのミュージシャン達と共演し、その音源がダブミックスされています。

浮遊感漂うスペーシーなミックスはこれまでに無かったサウンドですし、録音物において緻密な音作りという意識がまだまだ低いモーラムに、大きな変化をもたらす可能性のあるユニークな試みでした。

しかし、このアルバムは外部のミュージシャンによる企画物であった為、これ一度きりで終わってしまっていたのが残念な所です。

それから数年後、このアルバムに影響を受けたかどうか分りませんが、タイ人によるこの試みを受け継ぐ者たちが現れました。

それがSiang Hong Lionsというグループです。




モーラム+ダブ=未来のモーラム

Siang Hong Lions

このSiang Hong LionsはタイのレゲエバンドSrirajah Rockersから派生したプロジェクトで、ベースとミキシングを担当しているのはSrirajah Rockersのメンバーでもあります。

なので、パーマネントなグループという訳ではなく、通常は別のバンドなどで活動しているメンバーがSiang Hong Lionsでのライブなどがある時に集まってくるようです。

最初に彼らを知ったのは「MOLAM KARMA SOUND SYSTEM E.P.」という3曲入りのミニアルバムを聴いた時でした。

Siang Hong Lions "MOLAM KARMA SOUND SYSTEM E.P."

このアルバムは「グローン・ガム(กลอนกรรม)」という曲の3つのヴァージョンが収録されているシンプルなものなのですが、ケーンとレゲエのリズム、そしてダブが上手く融合された興味深いサウンドになっていました。

先のJah Wobbleのアルバムでは、伝統的なモーラムに無理やり最先端のリズムをはめ込んでいて、どこか消化不良な部分も感じられましたが、このSiang Hong Lionsの場合は非常にナチュラルにモーラムとダブがミックスされていて、取って付けたようなぎこちなさが感じられない所に好感が持てました。

しかし、1曲の3つのヴァージョンだけでは、このプロジェクトの全貌をうかがい知る事は出来ません。真価を確かめるにはやはりライブを観なければ、と思っていた時にバンコクのトンローにあるDJ Maft Sai氏のお店「Studio Lam」で彼らのライブがあるという事で、観に行ってみました。

この日はミキサーも含め9名のメンバーが集合し、Srirajah Rockersファンや感覚の鋭い音楽ファンで狭い店内がいっぱいになっていました。

肝心のSiang Hong Lionsのサウンドの方ですが、CDとはまったく違う厚みのあるサウンドと、確かなテクニックに裏打ちされた演奏、そして浮遊感漂うダブミックスは期待以上のものでした。

そして、レゲエという異ジャンルのリズムを下地にしながらも、ピンとケーンがイサーンの光景を描写していて、彼らにしか出来ない唯一無二のサウンドと言えるでしょう。

ただ、このお店は照明が全く無いので、当日僕が撮影した動画はほぼ真っ暗ですが、サウンド的には最高ですので、繰り返し見ても全然飽きません。

惜しいのは、先にも書いたように彼らがパーマネントなグループではないという事です。故に、活動回数もあまり多くなく、このサウンドを体験できるのも限られてしまっています。

願わくば1枚だけでもアルバムを作ってほしいですね。そして、彼らの意思を受け継ぐバンドが現れてくれると、モーラムはもっと面白くなってくるのではないでしょうか。

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