
これまでも何度かお伝えしていますが、このブログの一番大切にしているポリシーは、ネットで拾った情報を集めるだけでなく、現場に足を運んでリサーチした、リアルタイムのタイ音楽の現状をお伝えする事です。
ルークトゥンモーラムのコンサートは、その歌手の持ち歌を歌うよりも、その時に人気のある曲をカヴァーする割合の方が多い。
ゆえに、今、どんな曲がタイ人に受けているのかをリサーチする事は必須です。
どんな曲が歌われているのかが分からないと、表面的にぼんやりと雰囲気を楽しむ事は出来ても、本質的な部分でタイの音楽を楽しむ事は出来ません。
コンサートを、ルークトゥンモーラムを100%楽しむ為にも、旬をこのブログでチェックして、この音楽を十二分に楽しんでいただきたいと思います。
今回は6月上旬に2週間ほどかけてバンコク~イサーンを周ってリサーチして来た、2019年中盤にタイで受けている曲を10曲ほどピックアップして、紹介します。
目次
ルーク・クイ・タン・アムプー、ソート・チン・ルプラオ
前回のジェニー・ラチャノックについて書いた記事でも触れましたが、彼女が妹リリーの為に作った曲「ルーク・クイ・タン・アムプー・プア・トァー・コンディオウ」は7月現在2億再生を超える大ヒットとなっています。
コンサートの現場でも大人気で、南部の歌手の歌ですが、イサーンの歌手も多数歌っています。先日はシアンイサーンのコンサートでも歌われていました。
◆「ルーク・クイ・タン・アムプー・・・」のオフィシャルMVはこちら⇒
เลิกคุยทั้งอำเภอเพื่อเธอคนเดียว - ลิลลี่ ได้หมดถ้าสดชื่น Feat.เก้า เกริกพล
https://www.youtube.com/watch?v=6JnVhlxFABo
もう1曲、「ソート・チン・ルプラオ」も既に1億再生を超えていて、今コンサートに行けば必ずと言って良いほどカヴァーされている曲です。
オリジナル歌手のテーム・マリンというグループとグン・ナンティヤーという歌手については詳しく知らないのですが、それほど名前が知られていなくても曲が良ければ人気が出るという、最近のタイ音楽のヒットのあり方を象徴するような曲。
ちなみに、タイトルは「本当に恋人いないの?」という意味。
◆「ソート・チン・ルプラオ」オフィシャルMV
โสดจริงหรือเปล่า - วงแทมมะริน Feat.กุ้ง นนทิยา
https://www.youtube.com/watch?v=YqtOqQvWxTA
◆「ソート・チン・ルプラオ」女性ヴァージョン
โสดจริงหรือเปล่าV2 - กุ้ง นนทิยา
https://www.youtube.com/watch?v=LzqIXK0fLZw
この2曲はラムヤイ・ハイトーンカムのカヴァーでお楽しみください。
◆Coverルーク・クイ・タン・アムプー、ソート・チン・ルプラオ/ラムヤイ・ハイトーンカム@ナンバーワン・マーケット(ラム2)
サッ!!(モーンボン)
最近、じわじわと人気が拡大しているのが、このアーティーPT Musicが歌う曲「サッ!!」です。
この曲はアーティーにとって初めてのオリジナル曲。
アーティーは「ナンファー・サーラパン」が大ヒットしたセーンダーオ・ピムマシーを輩出したプロダクション「PT Music」が新たに送り出してきた強力な新人です。
個人的にもこのアーティーには注目しているのですが、その理由は彼女がしっかりとした実力を持っている歌手だからです。
アーティーはフルネームをナッティチャー・ソムスック(ณัฐธิชา สมสุข)と言います。
その名前からも連想できるように、彼女はワチャラポン・ソムスックに師事しており、ラムシンの基礎をしっかりと勉強してきている事がステージを観ていてもよくわかります。
PT Musicにはもう一人、スナックというモデル経験もある歌手もいて、彼女は美人であるだけでなく歌もしっかりしていて、こちらも今後が楽しみな歌手です。
PT Musicからはしばらく目が離させそうにありません。
◆「サッ!!(モーンボン)」
เช๊อะ!! ( มองบน ) - อาร์ตี้ PTmusic [Official MV]
https://www.youtube.com/watch?v=KWE6WTuID2I
この曲は6月7日にムクダハーンのパブ「ビア・ソット」で行われた、アーティーのライブからの動画を紹介しておきます。
◆サッ!!(モーンボン)/アーティーPT Music@ビア・ソット(ムクダハーン)
ゴ・マー・ディ・カ
トゥーイ・アピワットとコラボした曲「チャン・ヤン・ラック・トァー(ฉันยังรักเธอ)」が大ヒットしたユンイン・ガノックナン(ยุ่งยิ่ง กนกนันทน์)。
彼女はもともと一人で歌っていたのですが、最初がスローの曲だったので、今回のヒップホップ調の曲を出してきた時はビックリしました。
しかし、この流行語を上手く取り入れたこの曲は、見事にタイの女性を中心に大ヒット。オフィシャルMVは4月に公開されましたが、3ヶ月で約8000万再生に迫る勢いです。そう遠くない日に1億再生を達成する事は間違いないでしょう。
タイトルの「ゴ・マー・ディ・カ」は、「来るなら来てみなさい」という、かなり挑発的な意味。
◆ゴ・マー・ディ・カ(ก็มาดิคะ)/ユンイン・ガノックナン(ยุ่งยิ่ง กนกนันทน์) feat.Night tingle (OFFICIAL MV)
ピー(ヂョン)ポン
日本での知名度はどれくらいか分かりませんが、マハーヒン(มหาหิงค์)はタイで絶大な人気を持つグループです。中心はイサーンですが、イサーン以外でも頻繁にコンサートを行っています。
3月の新曲ピックアップでも取り上げたこの曲ですが、歌詞ヴァージョンの動画はその後着実に再生回数を伸ばし、現在は1億再生を超えました。
今のコンサートでも大人気で、コンサートに行けば90%以上の確立で誰かが歌っています。
この度、1億再生のご褒美だか、MVが作られましたので、そちらを貼っておきます。
◆ピー(ヂョン)ポン(ปี้(จน)ป่น)/エー・マハーヒンfeat.ブア・ガモンティップ(เอ มหาหิงค์ feat. บัว กมลทิพย์)
ロットヘー、ロットユー
コンサートに行っていて、「なんじゃ、この曲?」というのがありました。なんせ曲中で「チ○ポ、チ○ポ」と連呼しているのですから。
その正体はこの曲でした。
イサーン語なので、日本語の意味とは関係ないと思いますが、なんせサビで「チン・ポ、チン・チン・ポ、チン・チン・チン・・・」と繰り返すのですから、日本人にはそう聞こえてしまいます。
最近はブームもあって、「ロットヘー」という言葉がタイトルに使われている曲が増えましたが、これもそのひとつ。
去年人気があった「バック・ヂールーン(บักจีเหลิน)」同様の、ちょいちょい登場する子供歌謡(そんなジャンルはありませんが)の1曲。
◆ロットヘー・ロット・ユー[ポ・ローン・ポーン・チン](รถแห่รถยู้ [ป๊ะโล๊งโป๊งฉึ่ง])/ノーン・ティウテーン(น้อง ทิวเทน)
ロット・ボ・ミー・ナムマン
オーイ・セーンシン(ออย แสงศิลป์)のブレイクに続き、「バック・テンモー(บักแตงโม)」も社会現象的ヒットとなり、躍進を続けるギター・レコード。
この曲「ロット・ボ・ミー・ナムマン(ガス欠の車)」も、現在コンサートで大人気。YouTubeも7月現在で6000万再生を超えています。
ヂョープ・セークサン(จ๊อบ เสกสันต์)という名前は初めて聞きましたが、オーイに似たハスキーな声が耳に残ります。
◆ロット・ボ・ミー・ナムマン(รถบ่มีน้ำมัน)/ヂョープ・セークサン(จ๊อบ เสกสันต์)
チョープ・ベープ・ニー
最近、一番気に入っている曲。
サビの歌詞が良いんです。「その仕草が好き、その笑い方が好き、だからこの人が好き」っていう感じなんですが、シンプルな表現が良いですよね。
メロディーも耳に馴染みやすく、ここまでくるとルークトゥンとポップスの境目って分からなくなります。
歌っているナムトゥーイは女性ですが、ご覧いただければお分かりのようにトムボーイです。
タイはニューハーフだけでなくトムボーイも最近増えてきているようで、僕の周りにもトムボーイが何人かいたりします。
ちなみに、歌手の名前が「ナムトゥーイ・サベーンビン」となっていますが、「サベーンビン」というのはナムトゥーイが所属しているプロダクションの事で、かつてはネスカフェー・シーナコンも所属していました。
◆チョープ・ベープ・ニー(ชอบแบบนี้)/ナムトゥーイ・サベーンビン(หนามเตย สะแบงบิน) [OFFICIAL MV]
コープ・ヂャイ・ドゥー
先の「チョープ・ベープ・ニー」もそうですけど、この曲「コープ・ヂャイ・ドゥー(ขอบใจเด้อ)」もシンプルなタイトルです。
意味はイサーン語で「ありがとうね」。友達や知り合いの間で使う、フランクな言い方ですね。
イサーンでは今でも人気があるTVシリーズ「タイバーン」関連の曲のようですが、公開から2ヶ月経たない内に1億再生突破という、ものすごい人気になっています。
思春期の淡い恋を綴った歌詞が、その人気の理由なんでしょうか。
◆コープ・ヂャイ・ドゥー/サーン・サーンシン(オフィシャルMV)
ขอบใจเด้อ - ศาล สานศิลป์ : เซิ้ง|Music [Story จักรวาลไทบ้าน]【Official Video】
動画はバイポー・ラッティヤーがこの曲をカヴァーしたものです。
◆コープ・ヂャイ・ドゥー(ขอบใจเด้อ)/バイポー・ラッティヤー(ใบปอ รัตติยา)
ハイ・ケリー・マー・ソン・ダイ・ボ
ベル・ニパダーの存在を知ったのは2年前くらいだったでしょうか。
若いのにしっかりした歌が歌える娘だなと思い、それからSNSでフォローしていました。
ただ、その頃、彼女は13歳くらいで学生(今も学生)だったので、本格的な活動は卒業してからだろう、とのんびり構えていましたが、先月(6月)にリリースした曲が大ヒット。
いつかその日が来るだろうと思っていましたが、意外と早いブレイクでした。
タイトルの「ハイ・ケリー・マー・ソン・ダイ・ボ(ให้เคอรี่มาส่งได้บ่)」は「ケリーは届けに来てくれるかしら」という意味ですが、「ケリー(Kerry)」とはタイで小口配送を行っている会社の事、つまりこの曲はタイアップ曲です。
今の日本人にとっては会社名が連呼される曲が、多数の他人がカヴァーする大ヒットになるなんて、考えられませんですが、タイではまだまだOKです。
何よりベルの透明感のある歌声と、15歳の女の子に似合った曲調が良いです。
バイポーやネスカフェをはじめとした、多くの女性歌手にカヴァーされています。
◆ハイ・ケリー・マー・ソン・ダイ・ボ(ให้เคอรี่มาส่งได้บ่)/ベル・ニパダー(เบลล์ นิภาดา)【MUSIC VIDEO】
これら10曲以外にも「マック・アーイ・ラーイ・ドゥー(มักอ้ายหลายเด้อ)」、「ドゥー・ディアン・ダーン(เด๋อเดี่ยงด่าง)」、「ユー・ボ・ダイ(อยู่บ่ได้)」なども人気のある曲です。
コンサートに行かれる事があるならば、トレンドをチェックして、タイ人と一緒に楽しんで頂ければと思います。