「プーサオ・カーロッ」の大ヒットから1年。
さすがに社会現象的なブームは収まりつつありますが、まだまだ人気は衰えそうにないラムヤイ・ハイトーンカム。
1曲ヒットして人気歌手の仲間入り、なんて事はよくある話ですが、その人気はだいたいは同じジャンルの中だけで終始するのが常です。
しかし、ラムヤイに関してはそのポテンシャルの高さを早くから多くのミュージシャンが見抜いていて、ルークトゥンモーラム以外のミュージシャンから沢山のラブコールが寄せられました。
2018年5月時点では、タイのEDMグループBoom Boom Cashがラムヤイをフューチャーした曲が公開されたばかりです。
そこで、これまでラムヤイが他の歌手とコラボレーションした曲をまとめてみようと思います。
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まず、彼女に一番最初に声をかけてきたのがZeed(シード)というタイ南部を中心に活動しているバンドでした。

ラムヤイとZeedのヴォーカル・ポック@JSL Global Media(2017年3月31日)撮影:筆者
なぜ南部のバンドがイサーンの歌手ラムヤイにオファーを?と思いますが、この頃ヌット・ウィラワーンがフューチャーされたFlameの「OK パッ?」がヒットしていた事もあって、ロックとイサーンの音楽を融合させるという流れに乗って、という理由もあったと思います。
ただ、この曲が作られた時(2016年9月)はラムヤイがブレイク直前でしたので、Zeedは先見の明があったと言えます。
◆Zeed(ซี๊ด) feat.ラムヤイ・ハイトーンカム(ลำไย ไหทองคำ)/ルー・ヂャ・アオ(or you want)
ただ、先見の明があったまでは良かったんですが、ラムヤイの出番が少ないのと、残念ながらそれほど話題にはならなかったのは残念です。
このZeedとのコラボの直後にラムヤイは見事に大ブレイクした訳ですが、そこで真っ先にラブコールを送って来たのがあのセーク・ローソー(เสก โลโซ)でした。

セーク・ローソー&ラムヤイ。「カーロック・カーロッ」のレコーディングにて。
思いっきり下心を感じるこの組み合わせですが、ラムヤイの歌にセークがロックの要素を感じ取った故に実現したコラボレーションなのではないかと思います。
いくらスケベなセークとはいえ、見た目だけで自分のレコーディングに呼ぼうとは思わないでしょうから。
しかし、それまでほぼ無名に近い存在だった歌手が、いきなりタイを代表するミュージシャンとデュエットする事になったのですから、長い事応援して来た身としても本当に嬉しいニュースでした。
◆セーク・ローソー(เสก โลโซ)feat.ラムヤイ・ハイトーンカム(ลำไย ไหทองคำ)/カーロック・カーロッ(ขาร็อคขาเลาะ)
せっかくのビッグなコラボだったのですが、レコーディングのタイミングが悪く、ちょうどラムヤイが激務で喉を壊していた時期だった為、万全な状態での歌を残せなかったのは惜しいと思わざるを得ませんでした。
それと、ロックなのに全体的にイマイチ迫力が足りなくて、特にドラムスの音がしょぼいですね。セークの曲はほとんど聴いたことがありませんが、これがタイ・ロックの限界なのかなという感じも受けてしまいますね。
セークとのコラボから5ヵ月後、ついに真打登場!という感じで実現したのが、現代のモーラムのキーパーソン、ペット・サハラット(เพชร สหรัตน์)とのコラボでした。
この曲「モーラム・ロン・タップ(หมอลำลงตับ)」はペットが人気インディー歌手とコラボレーションする企画アルバム「サッパ・ラン・ケー(สับ-ปะ-ลัง-เค)」の中の1曲として作られた曲です。
実はこの半年ほど前、パトゥムターニーでのコンサートで共演していた二人。この時、いつかペットがラムヤイの為に曲を書いてくれる日が来ると良いな、と勝手に妄想していたのですが、それが見事に実現して二人のファンのとしても嬉しいコラボでした。

ラムヤイとペット・サハラット。タラート・アイヤラー(パトゥムターニー)でのコンサートのバックステージにて(2016年6月2日)。撮影:筆者
そして、やはり素晴らしい才能の持ち主であるペットだけあって、ラムヤイをしっかりモーラム歌手として捉えてくれていて、しかも歌手としての彼女の魅力を最大限に引き出してくれた曲作りは最高の一言です。
◆ペット・サハラット(เพชร สหรัตน์)feat.ラムヤイ・ハイトーンカム(ลำไย ไหทองคำ)/モーラム・ロン・タップ(หมอลำลงตับ)
プロダクションもセークの曲よりよっぽどしっかりしていますし、こっちの方がよっぽどロックらしさを感じます。
最後に、現時点で一番新しいコラボレーションが5月18日に公開されたばかりのBoom Boom Cashとのコラボレーション曲「サートゥ(สาธุ)」です。

Boom Boom Cash&ラムヤイ・ハイトーンカム
Boom Boom CashはEDMをやってるタイのグループという事で、意外な組み合わせですが、このコラボが実現したのはタイ最大の音楽イベントと言われているBig Mountain Music FestivalでラムヤイとBoom Boom Cashのメンバー・エーが共演した事が下敷きにあります。
◆Ch3の朝の情報番組「ルアン・ラオ・チャオ・ニー」でのラムヤイ&ゴルフ(Fucking Hero)、エーBoom Boom Cashのコラボ
その前にエーはラムヤイの曲「プーサオ・カーロッ」を気に入っていたようで、自身がリミックスしたものをYouTubeにアップしていました。
◆ラムヤイ・ハイトーンカム/プーサオ・カーロッ(BOTCASH Remix)
そんなこんなで実現した今回のコラボ。EDMのグループとの共演という事で、ダンスミュージックを想像していたのですが、リリースされたのは何とバラードでした!
しかし、これが良い意味で裏切られて、メロディーが良いのとラムヤイの新たな魅力が感じられる曲になっているのが、大当たりでした。
◆Boom Boom Cash feat.ラムヤイ・ハイトーンカム/サートゥ(สาธุ)
このMVは公開24時間で60万回再生と好発進。美しい映像もタイでは話題になっているようで、特にラムヤイの今までとは違う衣装に注目が集まっているようで、彼女のシーンだけキャプチャーした記事がアップされたりしていました。
テクノポップ出身の筆者としてはシンセの音にイマイチ馴染めない感がありますが、個人的には気に入っている曲です。
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こうしてまとめてみると分りやすいと思いますが、かなり幅広いジャンルのミュージシャンとのコラボレーションになっていて、ラムヤイのポテンシャルの高さがうかがい知れると思います。
この傾向はかつてのインリー・シーヂュムポンに似ています。インリーも様々なジャンルの歌手とコラボしていましたが、ラムヤイも歌手としてそれだけの可能性があるという証拠でもあります。
中にはラムヤイをバイトゥーイと同じ系統の歌手として捉えようとする向きもありますが、それは全くの見当違いです。そもそもラムヤイは歌手としてもタレントとしても彼女よりもはるかに高いポテンシャルを持っていますから。
今後のラムヤイはやはりプーサオ・カーロッに続くヒットを出して、歌手としての揺るがないステイタスを築いてほしいと思いますし、今の彼女はまだ才能の全てを出し切っている訳ではないので(特にモーラムの才能はほとんどの人が見たことないはず)、いつかその「本当のラムヤイ」が観られる日がくる事が、1番のファンとしての願いでしょうか。
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