
モーラム楽団は例年だと10月に入った頃から動き始めるのですが、今年はプミポン前国王の火葬式の関係もあって、多くの楽団が若干早めて活動を開始しました(10月は音楽関係のイベントが自粛される為)。
新シーズンに入って間もない時期ですが、今一度前シーズンを振り返る意味と、これからモーラムを見る方の参考の為に、モーラムのファン・コミュニティーであるイサーンガイド(อีสานไกด์ ดอท)が選んだ2016~2017シーズンのモーラム楽団ベスト10をご紹介したいと思います。
タイにはモーラムファングループがいくつかあって、イサーンガイドの他にイサーン100%(อีสาน100%)、イサーンシン(อีสานศิลป์)、ルークイサーン・ファンラム(ลูกอีสานฟังลำ)、といった所が主だったグループです。
その中でもイサーンガイドは規模・知名度などにおいて一番大きなグループと言えます。
今回のアンケートはFacebookで行われ、15~70歳の2042人が回答した結果です。
ちなみに年号の表記の件ですが、なぜ2016~2017年と記載しているのか疑問に思う人もいるかもしれないので、説明しておきます。
タイの季節は大きく分けると雨季と乾季の2つの季節になっていて、おおよそ雨季は6~9月、乾季は10月~5月になります。
モーラム楽団は基本的に乾季に活動しているので、年をまたぐ訳です。ですので、シーズンの表記が2016~2017年となる訳です。ちなみに、新しいシーズンは2017~2018年となります。
それでは、順位の発表です。
目次
- 1 No.10 ソムヂット・ボートーン(สมจิตร บ่อทอง)
- 2 No.9 ヌン・ルンティワー・アムヌアイシン(หนึ่ง รุ่งทิวา อำนวยศิลป์)
- 3 No.8 ラッタナシン・インタータイラート(รัตนศิลป์ อินตาไทยราษฏร์)
- 4 No.7 カムプン・ルアムミット(คำผุนร่วมมิตร)
- 5 No.6 サーオノーイ・ペットバンペーン(สาวน้อยเพชรบ้านแพง)
- 6 No.5 モーラム・ヂャイグンローイ(หมอลำใจเกินร้อย)
- 7 No.4 シアン・イサーン(เสียงอิสาน)
- 8 No.3 プラトム・バントゥンシン(ประถมบันเทิงศิลป์)
- 9 No.2 シラピン・プータイ(ศิลปินภูไท)
- 10 No.1 ラビアップ・ワータシン(ระเบียบวาทะศิลป์)
No.10 ソムヂット・ボートーン(สมจิตร บ่อทอง)
10位だったのは、モーラムマスターのソムヂット・ボートーンが率いる楽団でした。ソムヂット先生の代表曲「グラープ・デーン(赤いバラ)」から、「シラピン・グラープデーン」とも呼ばれます。
ソムヂット先生が素晴らしい事は言うまでもなく、バンド・ダンサーともに非常にクオリティーが高い楽団ですので、ベスト10に選ばれて当然でしょう。
新シーズンは美しいステージセットになっているようで、それも含めて、自分にとってはまたコンサートを観たい楽団のひとつです。
No.9 ヌン・ルンティワー・アムヌアイシン(หนึ่ง รุ่งทิวา อำนวยศิลป์)
こちらもベテランのモーラム歌手ヌン・ルンティワーが率いる楽団です。
2月にラムイントラでこの楽団のコンサートを観たのですが、他の楽団と比べると歌手・ダンサー共に全体的に年齢が高い感じがしました。その分、若干勢いが・・・(笑)。玄人好みの楽団なのかな、という印象を持っていました。
ただ、新シーズンでは新しいメンバーも加わり、結構パワーアップしているようです。
No.8 ラッタナシン・インタータイラート(รัตนศิลป์ อินตาไทยราษฏร์)
歴史もあり、根強い人気を誇るラッタナシンは、自分にとっても初めて観たモーラム楽団という事で、思い入れのある楽団のひとつです。
しかし、他の楽団を見てから改めてこの楽団を見ると、若干地味なイメージがあります。本当だったら、もっと順位が上であってもおかしくない楽団なんですが、その点はちょっと残念です。
No.7 カムプン・ルアムミット(คำผุนร่วมมิตร)
カムプンに関しては、正直いまいち魅力が分かりません。
2016年11月にこの楽団のコンサートを観ましたが、歌手も目を引く人が少ないし、歌もそれほど上手くない、ダンサーも平均点で、バンドも勢いが無くて、それ以降は観ていません。
ただ、最近トップラインとも契約したようで、もしかしたらその点の個人的な不満も解消されているかもしれません。
とはいえ、イサーンの人たちはそれなりに満足しているようで、この順位になったのでしょう。
No.6 サーオノーイ・ペットバンペーン(สาวน้อยเพชรบ้านแพง)
ポン・ピラディー率いるサーオノーイ・ペットバンペーンは個人的にも特に好きな楽団のひとつです。バンコクに頻繁に来てくれるので、今まで観たモーラム楽団の中でも、一番多くコンサートを観た楽団でもあります。なので、この順位というのは不満w もっと上であっても良かった気がします。
ポン・ピラディーはもちろん、歌手も粒揃いで、特にブアゲーウ・シーウボンという素晴らしい歌手と出会えた点でも、自分がこの楽団に思い入れを持っている理由でもあります。
しかし、そのブアゲーウも今はこの楽団を離れてしまいました。
とは言え、この楽団の魅力は変わることないでしょう。機会があれば、何度でも観たい楽団のひとつです。
No.5 モーラム・ヂャイグンローイ(หมอลำใจเกินร้อย)
ボーイ・シリチャイ率いるモーラム楽団「モーラム・ヂャイグンローイ」。
この楽団の個人的な印象は、非常に男目線ですが、綺麗どころが揃った楽団という感じです。
もちろん女性から観た場合でも、相当いい男どころが揃っているようで、自分が観た事のあるモーラム楽団の中でも、お金のマーライがもっともすごいのがこの楽団です。
なので、この順位なのも納得ですね。
No.4 シアン・イサーン(เสียงอิสาน)
今さら言うまでもなく、イサーンでは知らない人がいない、モーラム楽団の最高峰。
マイタイやポーイファイがいた頃のような、存在感のある歌手が少なくなってしまったのは残念ですが、今は今なりの魅力がこの楽団にはあります。
モーラムのゴットマザー、ノックノーイ・ウライポンもまだまだ元気で、これからも何度も観たい楽団です。
No.3 プラトム・バントゥンシン(ประถมบันเทิงศิลป์)
今、活動しているモーラム楽団の中では、スター歌手がもっとも多いのがこのプラトム・バントゥンシン。楽団立ち上げから60年の歴史を誇る楽団でもあります。
歌手達の存在感も去ることながら、演出なども含めて、そのスケールの大きさには圧倒されます。自分にとっては、モーラム楽団の面白さを教えてくれた楽団でもあります。
まだモーラム楽団を観た事がない人はこの辺りから入っていくのがおススメです。
現在のモーラムを代表する楽団のひとつ。
No.2 シラピン・プータイ(ศิลปินภูไท)
自分が観たモーラム楽団の中では、全体のクオリティーが最高と思ったのが、このシラピン・プータイです。歌手・ダンス・バンド・ステージ全てにおいて、芸術的とも言える素晴らしさです。
楽団長のウィラポン・ウォンシン師の圧倒的な存在感と、師のイメージを具現化する楽団員達のポテンシャルは、数あるモーラム楽団の中でも群を抜いています。
日本の人たちにもぜひ観ていただきたい楽団です。
No.1 ラビアップ・ワータシン(ระเบียบวาทะศิลป์)
プラトムもシラピン・プータイも素晴らしい楽団ですが、このラビアップ・ワータシンは総合的に今、最も充実している楽団と言えるでしょう。それがこの結果に現れていると思います。
自粛開けに行われた、パッタウィゴン・マーケットでのコンサートでは、会場のキャパシティを越える観客が集まり、大変な事になっていました。
今シーズンも素晴らしいステージを見せてくれるに違いありません。
最後にオマケですが、私が前シーズンに観たモーラム楽団のベスト10を選んでみました。
1.シラピン・プータイ(ศิลปินภูไท)
2.プラトム・バントゥンシン(ประถมบันเทิงศิลป์)
3.シアン・イサーン(เสียงอิสาน)
4.サーオノーイ・ペットバンペーン(สาวน้อยเพชรบ้านแพง)
5.ラビアップ・ワータシン(ระเบียบวาทะศิลป์)
6.エーム・アパサラー(เอม อภัสรา)
7.マイタイ・フアヂャイシン(ไหมไทย หัวใจศิลป์)
8.モーラム・ヂャイグンローイ(หมอลำใจเกินร้อย)
9.ソムヂット・ボートーン(สมจิตร บ่อทอง)
10.ラッタナシン・インタータイラート(รัตนศิลป์ อินตาไทยราษฎร์)
イサーンガイドの順位には入っていなかった、マイタイとエームですが、はっきり言ってカムプンとかよりかは全然良いと思うんですけどね。
日本に於けるモーラム楽団の認識というのは、まだ始まったばかりです。
しかし、確実にファンは増えていますし、分かり難いと思っていたこのジャンルが、意外と需要があるという事にビックリしています。それと同時に嬉しくもありますね。
今シーズンはさらに沢山の人にモーラム楽団の事を知ってもらえるように、微力ではありますが、頑張って行きたいと思っています。