2月1~11日、10日間ほどかけてバンコク~イサーンを周ってきました。
昨年、一昨年と同じ時期にイサーンに行った時は昼間は暑いものの、夜は日本の冬と同じ格好をしなければならないほどの寒さだったのですが、今回はそのような事はほとんどなく、昼も夜もTシャツ1枚で過ごせる温かい気候でした。おかげで日本から持っていった厚手のパーカーを途中でどこかに忘れてしまいましたけどね^^;。
今回も当然、毎日コンサートに行きまして、10日間で13ヶ所という密度の濃さでした。やはりイサーンに行った方がバンコクにずっといるよりも音楽的には充実した日を過ごせますね。
行ったコンサートを簡単にご紹介すると以下の通りです。
2/1 ヌット・ウィラーワン@ラムカムヘン大学前
2/2 ラムヤイ・ハイトーンカム@ワット・パーシーターウォン(ナコンパトム)
2/3 ルークトゥン・スクエア(セーンダーオ・ピムマシー、メーン・ピマーンラムetc.)@アヌサワリーチャイ
2/4 シアン・イサーン@ルーイ赤十字イベント
2/5 プラトム・バントゥンシン@マハーサーラカーム赤十字イベント
2/6 グラターイ・パンニパー@ナーンローン(ブリーラム)
2/7 All Thidsa Molam Band@マハーサーラカーム赤十字イベント、
ターTJW@プラパカーン@マハーサーラカーム
2/8 ロットヘー・ソムキットプロモーション(ネーン・ガノゴーン)@バーン・ゴーター(コンケーン)
2/9 シーヂャン・ウィーシー、ヌン・パラーンチャイ、ペンナパー・ネープチット@ワット・バーンドン(ヤソートン)
2/10 ラムヤイ・ハイトーンカム@ワット・バーンモット(スクサワット62)~ワット・フアグラブー(ティアンタレー11)
今回はこの現地調査で何度も耳にした、今(2019年2月時点)タイで人気のある曲をお伝えしたいともいます。
これまで何度もこのブログでは伝えてきていると思いますが、タイではいわゆるヒットチャートに上がっている曲と実際にリスナーが聴いている曲とはズレがあります。
リアルなシーンを把握するには、やはり実際にコンサートに足を運んでみないと分らない、というのがこのブログのスタンスです。
บักแตงโม(バック・テンモー)
今タイ人、特にイサーン人に爆発的に受けている曲が2曲あります。
その1曲がこのハンネーウというバンドの曲「バック・テーンモー」です。
「バック(บัก)」というのはイサーン語で男性の名前の前に付ける言葉で、「テーンモー(แตงโม)」はスイカの意味なので、この場合は「スイカ好きの男」という意味になるでしょうか。
しかしスイカはあるものの比喩に使われていて、MVを観てもらえればすぐに分るように、胸の大きな女性の事を指しています。
◆オリジナルはこちら
⇒วงฮันแนว(ウォン・ハンネーウ)/บักแตงโม(バック・テンモー)
胸の大きい女性への憧れをストレートに歌ったこの歌。公開されてすぐに聴いた時は「何てくだらない歌なんだろう」と思っていたのですが、気が付いてみればあっという間に1億再生超えの大ヒット。男目線の歌にも関わらず、女性歌手にも大人気の曲になっていました。
ちなみにこの歌をリリースしたのは、アレンジャーとしても人気のあるテーク・コンサーン先生のレーベル「ギター・レコード」。
オーイ・セーンシンを発掘し、彼を一躍スターダムに押し上げたレーベルですが、今回もハンネーウも大ヒットとなり、今最も勢いのあるレーベルであると言えます。
動画は2/6にブリーラムで観たグラターイ・パンニパーが歌っていたカヴァー・ヴァージョンです。
งัดถั่งงัด(ンガッ・タン・ンガッ)
今タイ人に爆発的にウケている2曲の内のもう1曲はトゥーイ・アティップディンの曲「ンガッ・タン・ンガッ」です。
「コーン・ハーン(ของฮ่าง)」のヒットも記憶に新しいトゥーイですが、今回はその曲とはまた違ったテイストのユーモラスな雰囲気の漂う曲になっています。
タイトルは「(棒などを)突っ込んで掘りおこす」という意味になるようですが、これはすぐ分るように腰を振る仕草を擬音で表現したものです。
◆オリジナルはこちら
⇒เต้ย อธิบดินทร์(トゥーイ・アティップディン)/งัดถั่งงัด(ンガッ・タン・ンガッ)
イサーン人が大好きなこの手の下ネタ系、案の定いろんな歌手が即効で飛びつきましたね。
男性歌手のみならず女性歌手もバンバン歌っていて、今回行ったコンサートでも頻繁に耳にしました。
ラムヤイも当然歌っていて、僕が行った2/2のナコンパトムでのコンサートではかなり過激な振りつけをしていました。
動画はその時撮影したものではなく、バックバンドのPeepoのスタッフが撮影したものですが、参考までに紹介しておきます。
先日、この曲の作者のトゥーイは著作権を放棄し、自由に歌っていいというコメントを出したと、音楽関連のメディアで報じられていました。
この人気は当面続くでしょう。
นางฟ้าสารภัญ(ナンファー・サーラパン)
この曲に関してはこのブログでも以前新曲情報で紹介していました。
「10,11月リリースの新曲ピックアップ」
その時は公開されて間もなかったので、ヒットするかどうかは未知数でしたが(正直、古いスタイルの歌謡モーラムだったので、それほど売れないと思っていた)、意外と反応が良く、この曲のおかげでセーンダーオの名前も一気に知名度が上がりました。
僕がやっているDJイベントでもこの曲が好きだというタイ人が来ていて、かけたらめちゃくちゃ盛り上がってました。
最近ようやくMVも作られて、まだしばらくは人気が続きそうです。
◆オリジナルはこちら
⇒แสงดาว พิมมะศรี(セーンダーオ・ピムマシー)/นางฟ้าสารภัญ(ナンファー・サーラパン)
動画は2月8日にコンケーンで観たロットヘーで歌われていた時に撮影したものです。歌っているのはネーン・ガノゴーン(แนน กนกอร)という女性ラムシン歌手です。
この時は平日だったので、若い子は学校に行っているから少ないかなと思っていましたが、ちょうど学校が終わった頃の時間帯だったので、学校帰りになだれ込んできていて、盛り上がっていました。
มักอ้ายหลายเด้อ(マック・アーイ・ラーイ・ドゥー)
「ボ・ペンヤン・カオ・カオヂャイ(บ่เป็นหยัง เค้าเข้าใจ)」が大ヒットしたグワーン・ヂラーパン。
そのイメージが強くて、彼女はギター1本で弾き語るスロー中心のフォーク系シンガーというイメージを持っている人は結構多いと思いますが、意外とはっちゃけた性格で、ライブではユーモラスな事もやっていたりしています。
今回の彼女の新曲はその辺を知っていればそれほど意外には思わないかもしれませんが、そうは言っても最初聞いた時は若干違和感を抱いたのは否定できません。
しかし、タイ人にはそんな事は関係なく、曲が良ければいいというスタンス。結果、女性を中心に人気の曲になりました。
◆オリジナルはこちら
⇒กวาง จิรพรรณ(グワーン・ヂラパン)/มักอ้ายหลายเด้อ(マック・アーイ・ラーイ・ドゥー)
「マック(มัก)」とはイサーン語で「好き、愛している」の意味。標準タイ語の「チョープ(ชอบ)」や「ラック(รัก)」にあたる言葉です。
ですので、タイトルは「あなたの事、大好きよ」といういたってストレートな意味。
カヴァー動画は、新曲に関して対応がスピーディーなロットヘーの女王バイポー・ラッティヤーとチーム・オーディオの強力タッグによるものです。
เต้ยลาหน้าเฟส(トゥーイ・ラー・ナー・フェース)
ここの所、「ミアン(เมี่ยน)」や「ホーンティ(หองติ)」といった若干ハードなテイストのサウンドを展開しているグン・スパーポン。
この曲は「ホーンティ」が公開されたわずか1ヶ月後の2018年12月に公開されました。
しかし、曲調はまったく違っていて、この「トゥーイ・ラー・ナー・フェース」はモーラムのひとつのスタイルである「トゥーイ(เต้ย)」を用いて作られた曲です。
◆オリジナルはこちら
⇒กุ้ง สุภาพร(グン・スパーポン)/เต้ยลาหน้าเฟส(トゥーイ・ラー・ナー・フェース)
なので、特にモーラム楽団の「トゥーイ・ラー(終盤のメドレー)」ではよく歌われているようで、2月4日にルーイで観たシアンイサーンのコンサートでも楽団所属の歌手ナムターンが歌っていました。
こういう古いスタイルの曲でも人気になるのがモーラムの良い所でもあります。
คารถแห่(カー・ロットヘー)
ホンサー・プラパーポンという歌手については全然知らなかったのですが、この曲に関しては、今ちょっとしたブームのロットヘーをテーマにしている事や、アレンジがサワット・サーラカーム先生という事もあって、以前から気に入っていた曲でした。
◆オリジナルはこちら
⇒หงสา ประภาพร(ホンサー・プラパーポン)คารถแห่(カー・ロットヘー)
そして、やはりというか、最近人気が出てきたようで、ロットヘーをはじめ色々なコンサートでも歌われ始めたようです。
こちらもシアンイサーンのコンサートで楽団所属の歌手パーミーが歌っていました。
ホンサーもこの曲の人気でコンサートも増え始めたようで、先日チョンブリーでも歌っていたようで、これからが楽しみな歌手です。
ขอแท็กแฟนเก่า(コーテック・フェーンガオ)
「ペンディンワイ・ナイヂャイ・アーイ(แผ่นดินไหวในใจอ้าย)」の大ヒットで人気歌手の仲間入りしたター・トーヂョーウォー。
その後もコンスタントにヒット曲を出していて、前作の「ペーノック(แพ้น็อค)」もスマッシュヒットとなり、個人的も大好きな曲でした。
しかし、今回のこの「コー・テック・フェーンガオ」はそれを上回る人気となっていて、歌詞動画は公開約4ヶ月で1億再生を達成しました。
◆オリジナルはこちら
⇒ต้าร์ ตจว.(ター・トーヂョーウォー)/ขอแท็กแฟนเก่า(コーテック・フェーンガオ)
実はこの曲がそんなに人気があるとは、イサーンに行くまで気が付きませんでした。
2月7日にマハーサーラカムのラーン・ビアでターのコンサートがあったので観に行ったのですが、比較的大きなお店が超満員で、その時ようやくこの曲の人気を知ったのでした。
もちろんコンサートでも沢山の歌手が男女問わず歌っています。
動画はセーンダーオ・ピムマシーによるカヴァーをご覧ください。
ลากิ(ラーギ )
最後はオリジナルがタイの曲ではなく、インドネシアのダンドゥットです。
なぜこの曲がタイで人気なのかの理由は、残念ながら今の時点で分っていませんが、とにかくルークトゥンモーラムのコンサートでは頻繁に歌われていて、しかもインドネシア語の歌詞のまま歌われているという状況です。
◆オリジナルはこちら
⇒Siti Badriah / lagi syantik
ナガスワラはダンドゥットで最大手といえるプロダクション。歌手のシティ・バッドリア(って読むのかな?)もダンドゥット歌手では人気の歌手なのでしょう。
どうも世界的に人気になっているようであるこの曲。その流れでタイでも人気になったんでしょうね。
ただ、曲的にもそれほど良いという訳でもなく、歌詞も「私、綺麗でしょ?」みたいな大した内容でもないので、なぜここまでヒットしているのか、個人的には未だに謎です。
オリジナルの動画は1年弱で5億再生に迫る勢いですが、インドネシアの人口は2億6千万でタイの3倍以上ですから、人口との比率で言ったらタイの3億回とかの方がよっぽど凄いです。
動画はネスカフェ・シーナコンによるカヴァーです。
こうして振り返ってみると、やはり時代はインディーだな、と改めて思いますね。なんせGrammy GoldやR-Siamの曲が1曲も有りませんから。
この流れはまだ当面続くでしょう。
それと、最近CDやインターネットだけでなく、実際にタイに行ってコンサートを楽しむ日本の方も増えて来たようで、嬉しい限りです。
しかし、ルークトゥンモーラムのコンサートをより楽しむには、ただ雰囲気を楽しんでいるだけよりも、どんな曲が人気なのかを事前によく調べてから行った方がコンサートがはるかに面白くなります。
ぜひ、このブログを参考に、現地でリアルなタイを体感してみてください。
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