5枚目はMocca Gardenのアルバム「Modern Reggae-Ska in Thai Style」(2016年)です。
Kai-Jo Brothersをさらにポップな感じにしたこのバンド。先の「ポム・ラック・ムアンタイ」を含む全9曲がこのアルバムには収録されています。

Mocca Garden “Modern Reggae-Ska in Thai Style”
彼らの音楽は無条件に楽しいです。アルバムのタイトルにもなっているように、これこそがタイスタイルのレゲエといえるサウンドになっています。
さらに、このバンドの特徴として感じるのは、ルークトゥンやタイの伝統音楽を積極的に取り入れている部分が随所に見られる所です。
例えば、Tr.6「Wanna be Ska」のイントロでは、ルークトゥンでよく聴かれるフレーズが使われていますし、このアルバムには収録されていませんが、「ハック・サーオ・ター・サン(ฮักสาวตาซัง)」という曲ではイサーンがテーマになっています。
このアルバムは今でも比較的入手しやすいので、タイレゲエの面白さを体験したい人にはおススメしたい1枚です。
◆Mocca Garden「ネーヂャイ・ルプラオ(本気なの?)」
6枚目はがらりと雰囲気が変わって、がっつり硬派なスタイルのタイレゲエです。
今のタイレゲエで最も人気があり、クオリティーの高い音楽を作っているのが、Srirajah Rockersでしょう。
その彼らが2016年にリリースしたのが、この「Organix」というアルバムです。

Srirajah Rockers “Organix”
全10曲収録。僕が買った時は、タイのCDとしてはかなり高い600バーツでした。
2003年にチョンブリーのシーラチャーで結成されたというこのバンド。
2枚のアルバムをリリースした後、一時期バンドの活動が休止していた時期があったそう。
その休止明けの活動再開時に、大幅にメンバーチェンジをして制作されたのが今作という事です。
ウィンがこのアルバムに込めた熱意は並々ならぬものであったのだろう事は、音を聴くと一発で分かります。
とにかくクオリティーの高さが半端ない。音の隅々まで神経をとがらせて、丹念に作られた事がひしひしと伝わってきます。
アルバム全体を通してテンションが高く、素晴らしい完成度であることは誰が聴いても感じる事でしょう。
タイレゲエの歴史に残る作品であると断言できる、素晴らしい名作です。
ちなみに、Tr.6「ヤー・ハイ・デー」ではゲストとしてRasmee Isan Soulのラッサミーがヴォーカルで1曲参加しています。
なお、このアルバムのミキシングは日本で2週間に渡って行われ、Dry&HeavyやOki Dub Ainu Bandのミキサーとしても知られる内田直之氏が担当しています。
また、2016年度の第14回コムチャットルック・アワードでは最優秀録音賞、最優秀グループ賞、最優秀楽曲賞の3部門を受賞しています。
◆SRIRAJAH ROCKERS「トゥーム(満たされる)」
◆SRIRAJAH ROCKERS feat. RASMEE 「ヤー・ハイ・デー(泣かないで)」
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